第11回 自由でも放任できない自由会話―自由にするために必要な準備とは?
日本語ボランティアの河田さんが日本語ボランティアを始めて、はや数ヶ月が経ちました。 まだまだ失敗をすることもありますが、初級の場合、学習者の運用力が目に見えて上がっていくので、自分でも少しは授業がうまくなってきたように思います。 今日の授業は、「辞書形」を教える18課です。生徒さんは、やっと混合クラス(第7回参照)から離れたインドネシアのジョニさん、ベトナムのグエンさんの2人です。...
View Article第12回 考え方がわかれば自分で考えられる―上級文法は教えるより交通整理?
日本語ボランティアの平野さんは授業を終え、帰り支度をしていた時、ボランティア仲間の相馬さんに会いました。どうやら偶然ではなく、平野さんを待っていたようです。 挨拶を交わすと、さっそく相馬さんは切り出しました。 ―来週の授業なんすけど、あのう、ちょっと、トラが入っちゃって。 ―トラ? 虎がどこに入ったというのでしょう。驚く平野さんに、相馬さんは説明を加えました。...
View Article①新しい項目を、「本当にニホンゴだけで」導入したい!
「先生、漢字を書いてください」 「英語でお願いします」 導入の真っ最中に、ぱらぱらと投げかけられるリクエスト。 うーん、応えてしまいそうになる誘惑をぐっと我慢し、 「ちょっと待ってください。それから、はい、〇〇さん、今辞書は見ないでください。あああ、△△さん、今はちょっと静かに、、、」...
View Article②「~ことができます」を、「ニホンゴだけで」導入する
まずは、前回の宿題の答えから。 宿題1:導入に際し、提示する最初の文は、②「~ことができません」にする。 え! 最初の提示文だから、やっぱり「~ことができます」なんじゃないの? ———はい。多くの場合、導入時に最初に示すのは、肯定の文ですね。例えば、「行きます」を導入するときは、やはり「行きます」という形からであって、わざわざ「行きません」から入るなんてややこしいことは、しないですよね。...
View Article③「~ことができます」を、「ニホンゴだけで」導入する その2
教 師: 〇〇さん、この本を食べてください。 学習者: <心の声: ハ? 本ヲ食ベロ? 何ノ冗談ダ?>いいえ、食べません。 教 師: どうぞどうぞ、食べてください。 学習者: <オイオイ、、、>いいえ! 食べたくないです。 教 師: あ、じゃ、机を食べてください。 学習者: <アノネ、机ナンテ食ベラレルワケナイダロ。ダイタイ噛ミ切レナイデス、コンナモン>いいえ! あ、あの、歯、歯が痛いです。 教...
View Article物語を彩る名バイプレーヤーたち
東京HOPE日本語国際学院 教務主任 渡邊一彦 「みんなが主人公」 『みんなの日本語初級』においては、マイク・ミラーさんをはじめとした登場人物たちが日常遭遇するであろうさまざま状況に日本語で対応しており、学習者もそんな彼らの姿を通して表現等を学び日本語能力を高めていきます。 そして登場人物たちは皆、豊かで良好な人間関係を築いており、それが日本語学習の一助となっているように思えます。...
View Article非漢字圏学習者、初級日本語クラスでの工夫 ベトナム人学習者を例に
東京語文学院日本語センター 専任講師 生方恭子 初級日本語クラス、非漢字学習者を迎えての現状 当校ではベトナム人学習者が2013年1月に15名、4月に40名、7月に30名程入学し、漢字圏の学習者と人数が逆転しました。今年1月にも30名程入学し、ベトナム人を主としたクラスが現在8クラス、主に専門学校や大学進学を目標としています。...
View Article『みんなの日本語初級 翻訳・文法解説』を使いこなす-学習者の上達と教師の力量アップ-
国際日語教育学院 教務主任 神部秀夫 『みんなの日本語初級 第2版』の本冊が出版されるとともに、準拠の『みんなの日本語初級 第2版 翻訳・文法解説』(以下、『翻訳・文法解説』)』も改訂されました。また第2版では、ベトナム語版の『翻訳・文法解説』が出版されました。ここでは、『みんなの日本語初級』の『本冊』と『翻訳・文法解説』とをどのように使っていけばよいかについて述べていきます。その前に以前の...
View Article入門,初級期が大切『みんなの日本語初級Ⅰ』を使っての直接法の授業
講師 吉里以久子 イー・エフ・インターナショナル ランゲージスクール 非常勤講師 私が担当する授業の学習者の目的は、進学や日本語能力試験合格などではなく、日本語で日常生活や、職場でのコミュニケーションをとってみたいとか、興味のある日本文化やサブカルチャーに接してみたいといった場合がほとんどです。 ○さて、このようなクラスでの初めての授業です。...
View Article-初級前期で行うインタビュータスク-
講師 鈴木健司 学校法人大原学園 大原日本語学院 主任教員 ○はじめに 当校では、一昨年度までは非漢字圏学習者(ベトナム スリランカ タイ ネパール モンゴルなど)も漢字圏からの学習者(中国 台湾 韓国)と同じクラスで初級の学習を続けてきましたが、非漢字圏の学習者の増加が見込まれることから、昨年度末より非漢字圏学習者向けのコースを新設し、そのメインテキストとして『日本語初級大地』を使っています。...
View Article第一回 中級編
東京三立学院 竹野藍 〇はじめに 当校では、中級以降、各種試験対策の聴解授業を行っていますが、問題点が2点ありました。 1点目は、「メモがなかなか取れない」ことです。受け身になり、漫然と聴解問題に取り組む姿が見られました。...
View Article第二回 中上級編
東京三立学院 竹野藍 〇はじめに 当校では、中級以降の聴解授業において、「メモが取れない」「聴解から発話につなげる能力の育成」の2点が課題としてありました。そこで、これらに対処する授業として『留学生のためのアカデミック・ジャパニーズ 聴解』シリーズを採用しました。 『中級』では課題の1点目に主眼をおいた授業を行い、『中上級』では課題の2点目に主眼をおき、シリーズを通して使用しました。...
View Article条件によって使い方を変え、教え方の幅を広げる-時間が限られた日本語研修を例に-
AZ Japanese Service代表 倉持素子 数年前より、日本で最もグローバル化が進んでいる企業の一つで、世界中から集まってくる社員に向けた日本語研修を担当しています。仕事では英語を使う環境にありながら、せっかく日本に住んでいるのだから日本語を勉強し、日本理解に役立てたいと考える人たちが対象です。日本語研修にあたり、会社側が授業料を負担するうえで提示した条件は次のようなものでした。...
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